人工真皮とは?種類やメリットデメリット、美容整形における効果を解説 | AiZクリニックの鼻整形コラム|東京・表参道のAiZクリニック 

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人工真皮とは?種類やメリットデメリット、美容整形における効果を解説

人工真皮とは

人工真皮(じんこうしんぴ)とは、コラーゲンを主成分とした人工的に作られた皮膚の真皮層の代替材料です。
もともとは熱傷(やけど)や外傷で皮膚の深い部分(真皮)まで損傷してしまった傷を治療する目的で開発され、失われた真皮の代わりとなる「足場」を作るために用いられてきました。
近年では、この人工真皮が美容医療の分野でも注目されています。
真皮層の主要成分であるコラーゲンスポンジによって失われた皮膚のボリュームを補い、組織の再生を促す効果が期待できるためです。
たとえば小鼻の付け根のくぼみやほうれい線部分に人工真皮シートを挿入すると、長期間にわたってその凹みを内側から持ち上げることができ、シワや影を改善する効果が期待できます。
人工真皮は2000年代頃から医療現場で応用が始まった比較的新しい材料ですが、現在までアレルギー反応や拒絶反応の報告はほとんどなく、美容外科領域でも「半永久的に効果が続く自然なボリュームアップ法」として注目されています。

人工真皮と植皮治療(本来の用途)

本来、人工真皮は植皮手術(皮膚移植)を円滑に行うための再建医療素材として開発されました。
大きな傷や熱傷で皮膚が欠損した部分に人工真皮を敷き、その上に患者自身の皮膚を移植する方法です。
人工真皮を創面に貼付して約2週間おくと、コラーゲンのスポンジ層に患者自身の血管が侵入して真皮様の組織(肉芽組織)が形成されます。
その後、シリコーンシートを除去してから患者自身の皮膚(薄く削いだ表皮)を植皮すると、直接植皮するよりも生着が良く柔軟な皮膚に仕上がるとされています。
このように人工真皮は、真皮欠損を補う再生医療の材料として、手や顔など広範囲の皮膚欠損の治療に古くから使われてきました。
なお、日本で使用できる人工真皮製品にはいくつか種類があり、代表的なものにグンゼ社の「ペルナック®(Pelnac)」やテルモ社系の「テルダーミス®」などがあります。
製品によって由来や構造に若干の違いはありますが、いずれもコラーゲンスポンジ層を主成分とし、乾燥や感染を防ぐための補強膜(シリコンフィルム)で覆われた構造です。
近年ではコラーゲンにFGF(線維芽細胞増殖因子)を含浸させて血管の侵入を促進した改良型の人工真皮(例:ペルナックGプラス®)も開発されており、より厚みのある皮下組織の再建も可能になりつつあります。

人工真皮を用いた美容整形手術と使い方

美容整形において人工真皮を用いる手術は、おもに顔のくぼみをボリュームアップする目的で行われます。
具体的には、鼻の両脇(小鼻付け根)や鼻先、ほうれい線の下など、「加齢や先天的な要因でくぼみ・凹凸が目立つ部分」の皮下に人工真皮シートを挿入する施術です。
手術は口の中(上唇の裏側)や鼻の孔の内側など、外から見えない位置を数センチ切開し、そこから専用の人工真皮シートを目的の部位に挿入します。
シート状のコラーゲンスポンジに適度な厚みを持たせてターゲット部分に配置することで、皮膚の下からハリと厚みを加え、表面のシワや影を自然に押し上げる仕組みです。
切開は口腔内で行うケースが多く、ほとんどの場合、外見上は傷跡が残りません。
挿入された人工真皮は、約1~3か月かけて体内の自己組織(本人のコラーゲン組織)に置き換わっていきます。
言い換えれば、時間の経過とともに人工物だったコラーゲンが徐々に自分の組織に置き換わり、異物ではなく「自分の皮膚の一部」のようになじんでいくということです。
この過程で一部(およそ2~3割)の人工真皮は体内に吸収されますが、大部分は組織内に残って効果を発揮し続けます。
定着後は半永久的に効果が持続し、ヒアルロン酸のように定期的な追加注入をする必要もありません。

人工真皮を用いた美容整形のメリット

人工真皮を用いた美容施術は、従来のプロテーゼ(シリコン)挿入やヒアルロン酸注入と比較して「自然な仕上がり」や「長期持続性」といった点で優れています。
プロテーゼは確実なボリュームアップが可能な反面、挿入後はシリコンがレントゲン検査などで写ったり、まれに位置ズレや輪郭の浮き出しが起こるリスクがありました。
しかし、人工真皮はコラーゲン素材なのでX線写真に写ることもなく、自家組織に置換された後は異物感のない自然な質感になります。
また、シリコンのように将来入れ替えが必要になることも基本的にないとされています。
ヒアルロン酸注入はダウンタイムが短くお手軽ですが、半年~1年程度で体に吸収され効果が消えてしまうため繰り返しの施術が必要でした。
人工真皮なら一度の手術で長年効果が続くため、頻繁なメンテナンスを避けたい方にも適しています。

人工真皮を用いた美容整形のデメリット

ただし、人工真皮にも留意点があります。
過度に厚みのあるシートを入れたり、手術直後に内部に血が溜まってしまったりすると、コラーゲンへの血管侵入が不十分となり組織への置換がうまくいかない可能性があります。
また、人工真皮そのものにはプロテーゼのような強度や支持力はないため、高さ出し(鼻を大きく高くする等)の目的には適しません。
あくまで「皮膚や軟部組織のボリュームアップ」に効果を発揮する素材であり、骨のような支えが必要な場合には他の施術が検討されます。
そのため、人工真皮施術は、顔の細かな凹みを自然に改善したい方や異物を体内に残したくない方に向いている治療と言えるでしょう。
では実際に人工真皮がどのような部位の美容整形に利用され、どんな効果が得られるのか、部位別にもう少し詳しく見ていきましょう。

人工真皮を用いた鼻翼基部の施術(貴族手術)

鼻翼基部(びよくきぶ)とは、小鼻(鼻翼)の付け根部分のこと。
正面から見て、この鼻翼基部が骨格的に凹んでいると、小鼻の横から口角にかけて影やシワができやすく、いわゆるほうれい線(法令線)が深く見えてしまいがち。
また、中顔面(目と口の間のあたり)が平坦になることで、口元(上唇)が前に突き出て見える印象も強まります。
そこで人工真皮によって小鼻付け根のくぼみ部分にボリュームを足してあげると、ほうれい線の影を目立たなくし、口元の突出感も和らげて顔立ちを上品に整える効果が期待できます。
この施術は近年「貴族手術(きぞくしゅじゅつ)」とも呼ばれ、美容大国韓国で人気が出たネーミングが日本にも広まりました。
鼻翼基部への人工真皮挿入は、まさにこの貴族手術として行われています。
従来はシリコンプロテーゼを挿入するのが一般的でしたが、人工真皮でもほぼ同等の効果を得ることが可能です。
手術は上唇の内側(歯茎側)を左右それぞれ小切開し、そこから小鼻の付け根あたりの皮下にポケットを作って人工真皮シートを挿入します。
左右のくぼみ具合に合わせてシートの大きさや厚みをオーダーメイドで調整できるため、細かなボリュームコントロールが可能に。
人工真皮シートは比較的柔らかい素材のため、挿入後にずれたり輪郭が浮き出る心配もほとんどなく安心です。
人工真皮による貴族手術の効果は半永久的で、一度定着すればシリコンのように将来的な入れ替えも不要で、ヒアルロン酸のように徐々に消えていくということもありません。
ダウンタイムも比較的軽く、手術後は鼻周りに腫れが数日~1週間程度出ますがテープ固定やギプス固定の必要もなく、内出血が出た場合でも2~3週間もすればほとんど目立たなくなります。
口腔内からのアプローチなので顔表面に傷跡が残らない点も大きなメリットでしょう。
なお、鼻翼基部のくぼみが極端に深いケースでは、人工真皮よりもプロテーゼ(シリコン)の方が確実に高さを出せる場合もあります。
そのため当初はプロテーゼを勧められるケースもありますが、「体に異物を残したくない」「できるだけ自然な質感にしたい」という希望がある場合は人工真皮が選択肢のひとつとなります。
最近では肋軟骨や真皮脂肪移植(自身の組織)など自家組織による貴族手術を行うクリニックもありますが、採取のための別部位の手術が必要になる負担を考えると、人工真皮は効果と安全性のバランスが良い方法として注目されています。

人工真皮を用いた鼻整形(鼻尖部への移植)

特に鼻尖(びせん)、いわゆる鼻先の美容整形で人工真皮を使用するケースも存在します。
鼻先に人工真皮を移植することで、低い鼻先を半永久的に高くすることが可能となり、団子鼻や豚鼻(上向きの鼻)で鼻先が低く見える場合の選択肢となることが多いです。
軟骨移植のように骨や軟骨で土台を組む方法に比べると劇的な高さアップは望めませんが、皮膚の厚みを増やすことで鼻先を自然に尖らせるイメージです。
人工真皮を鼻尖部に入れるメリットは、まず仕上がりが非常に柔らかく自然な点でしょう。
シリコンプロテーゼを鼻先に入れると、皮膚が突っ張ったり輪郭が浮き出たりして不自然になるリスクがありますが、人工真皮ならご自身の皮膚組織に近い性質のため、触った感触も自然で、外見上も移植したことがわかりにくいのです。
また皮膚が薄い方の鼻整形にも適しており、従来の手術で鼻先の皮膚が薄くなってしまったケースでは、プロテーゼや軟骨を追加で入れると皮膚から突き破って露出する恐れがあります。
人工真皮であれば薄くなった皮膚の下にクッションを作り、安全に高さや形を調整することが可能です。
一方、人工真皮による鼻尖形成には限界もあります。前述したように、軟骨移植のような強い支持力はないため、劇的に鼻先を長く高くすることはできません。
鼻先を上向きから下向きへ大きく変える(鼻中隔延長術レベルの)場合や、鼻筋自体を通す隆鼻術には適さないでしょう。
そのため、人工真皮移植は「あともう少しだけ鼻先に高さが欲しい」というケースや小さな段差・凹みを修正したいケースで役立ちます。
鼻への人工真皮移植の手術は、全身麻酔あるいは静脈麻酔で行われます。手術中は眠っている状態なので痛みは全く心配いりません。
ダウンタイムは、おおよそ2週間程度と考えておきましょう。
鼻先は多少腫れますが、テープでの固定は不要で、メイクで隠せる範囲の小さな絆創膏を貼る程度で済む場合が多いようです。
傷跡は鼻の中の切開なので、外からは見えません。

人工真皮の種類と特徴(ペルナックなど)

美容目的で使用される人工真皮にはいくつか種類がありますが、基本的な構造や働きは共通しています。

ペルナック®

ペルナック®(Pelnac)は日本で広く使われている人工真皮の一つで、コラーゲンスポンジ層と補強用フィルムからなる二層構造の人工皮膚です。
ペルナックは日本のグンゼメディカル社が製造販売する人工真皮で、コラーゲンスポンジ層+シリコン補強膜の二層構造を持ち、1990年代から熱傷・難治性潰瘍などの治療で多く使われてきました。
サイズや厚みも数種類用意されており、創傷の大きさに合わせて使い分けられます。
美容外科領域でも、顔の皮膚欠損や凹み補填の目的でペルナックが応用されています。
コラーゲンスポンジの安定性が高く、適切に処理・滅菌されているため感染や拒絶反応のリスクが極めて低いとされています。

テルダーミス®(テルモ)

テルダーミス®(Terudermis)はテルモ株式会社が開発・販売する日本製の人工真皮で、コラーゲンスポンジ層とシリコーン膜の二層構造を特徴としています。
1996年に医療機器として承認されて以来、熱傷や外傷、皮膚腫瘍切除後などの真皮欠損再建に広く使用されており、高い柔軟性と生体適合性、創面への密着性が良いのが特徴です。
美容外科領域では、顔の凹みや皮膚欠損部の再建、さらには鼻翼基部やほうれい線へのボリューム補填にも応用されています。
感染リスクが低く、操作性が良いことから、医療現場で長年信頼されている人工真皮です。

インテグラ®(Integra社)

インテグラ®(Integra Dermal Regeneration Template)はアメリカのIntegra LifeSciences社が開発した人工真皮で、コラーゲンとグリコサミノグリカン(GAG)を混合したスポンジ層とシリコーン膜からなる二層構造です。
世界的に最も臨床使用実績が多い人工真皮の一つであり、米国FDA承認も受けています。
美容外科では、皮膚欠損や瘢痕修正、顔面再建手術などで用いられることが多く、再生後の皮膚は柔軟で自然な質感に仕上がります。
国際的にも信頼性が高く、長期的な安全性が確立された人工真皮として評価されています。

人工真皮を用いた整形のダウンタイムはどのくらい?

人工真皮挿入のダウンタイム(回復期間)は、施術部位にもよりますが概ね1~2週間程度と考えられます。
鼻翼基部やほうれい線への施術では、術後数日は腫れますがマスクで隠せる程度で、内出血が出ても2~3週間ほどで消失することがほとんどです。
鼻先への移植も、大きな腫れは1週間程度で落ち着き、その後徐々に自然な状態になっていきます。
個人差はありますが、他の美容整形(例:骨を削るような手術)に比べると負担は軽く、テープ固定やギプス固定も不要のため日常生活に支障が出にくいと言えるでしょう。
ただし腫れが完全に引いて最終的な仕上がりが整うまでには約1~3ヶ月程度見ておくと安心です。大切なイベントがある場合は余裕をもって施術を受けましょう。

人工真皮は吸収される?効果の持続期間

人工真皮は挿入後、術後1~3ヶ月の間に人工真皮のコラーゲンが自分の組織に置き換わる過程で20~30%程度が吸収・消失するといわれています。
しかし、残りの70~80%ほどは新生したコラーゲン組織として定着し、その部分の厚み・ハリは半永久的に維持されます。
つまり、人工真皮の効果持続期間は非常に長く、多少ボリュームの減りはあるものの、事実上半永久的と考えてよいでしょう。
プロテーゼのように何年か後に入れ替えが必要になることもなく、ヒアルロン酸のように定期的な追加注入も不要です。
もちろん、人間の組織なので加齢による変化(周囲組織の萎縮など)の影響は受けますが、人工真皮を入れた部分だけ急激にボリュームが減ってしまう心配はありません。

人工真皮が馴染むまでの期間

人工真皮施術後、組織になじむまでの期間はおおよそ1~3ヶ月程度です。
挿入直後はコラーゲンスポンジがまだ自分の組織と一体化していないため、触るとやや硬さを感じたり、局所的に腫れぼったく見えたりすることがあります。
しかし時間とともにスポンジ内部に血管や細胞が入り込み、自家組織へと置換されていくにつれて、周囲の皮膚と一体化した自然な状態になります。
目安として1ヶ月も経過すればかなり馴染んできますが、完全に落ち着くのは3ヶ月~半年ほど後と考えてください。
特に厚めの人工真皮を入れた場合、馴染むにつれて術直後よりわずかにボリュームダウンすることがあります。
これは前述の通り一部吸収が起こるためですが、極端にしぼんでしまうことは基本的にありません。
医師の指示どおり経過観察を続け、気になることがあれば適宜相談してください。

人工真皮はレントゲンに写る?

人工真皮そのものはX線(レントゲン)にはほとんど写りません。
シリコンプロテーゼの場合、胸部レントゲンやCT検査で白い影となって映るため、検診の際に「鼻に何か入っていますか?」と聞かれることがありますが、人工真皮は基本的に体内に残る異物がない状態(自家組織化)になるためレントゲン写真で判別されにくいのです。
撮影自体に支障はありませんし、MRI検査などでも金属のように悪影響を及ぼす心配もありません。
むしろ体内に異物(シリコン)が残らない分、術後の慢性的な炎症や発赤も起こりにくいとされています。

人工真皮を使用した美容整形ならAiZクリニックにお任せください

このように人工真皮は、美容整形において「自然な仕上がり」と「半永久的な効果」を両立できる画期的な素材です。
ほうれい線や小鼻横のくぼみ、鼻先などの気になる部分に対して、従来のヒアルロン酸やプロテーゼでは得られなかったメリットがあります。
最新の美容医療に興味がある方は、ぜひ人工真皮を用いた治療も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
AiZクリニックでも鼻整形をはじめとしたさまざまな美容施術メニューを提供しており、きっとあなたの理想に近づくお手伝いができるはずです。お気軽に無料カウンセリングへお越しください。

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